このページは近未来のフィクションです。実在の団体名等が出てきますが、無関係です。

法律

法律上の義体の扱い

 基本的なスタンスとして、法律では、義体は義肢と同等のものとなっている。つまり、モノである。このため、他者の義体を損傷した者には、傷害罪ではなく器物損壊罪が適用される。ただし、生命維持装置に危害を及ぼした場合は、死に直結するためこの限りではなく、殺人未遂罪に問われる。また、逆に義体者が義体で他者を傷つけた場合は、物を使って攻撃したと見なされる。例えば、全身義体者が義体の手で相手を殴った場合、素手で殴ったとは見なされず、鈍器で殴ったと見なされる。

 義体は電気機械であるが、脚の機能を持った義体はシニアカーと同じく歩行補助具、腕の機能を持った義体は筋電義手として扱われるので、特別な免許は要らない。

2013/01/16

心身全単射の原則

 一人の心に対応する体は一つに限定する、という原則である。つまり、健常者は自分の心と自分の人体が一対一対応であり、他のロボットを操作してもそれは人間とは認められない。全身義体者は自分の心と自分の義体が一対一対応であり、その義体に限り人間と認められるが、他のロボットを操作してもそれは人間とは認められない。また、全身の麻痺や硬直などの病に侵された患者が意思疎通のためにロボットを操作する場合も、患者自身の体はまだ存在しているので、患者の心と体の対応が優先され、ロボットは人間とは認められない。

 先述の「法律上の義体の扱い」と合わせると、人体、義体、ロボットの扱いは以下のようになる。

名称 ヒトか否か  人間か否か 
人体 ヒト 人間
全身義体 モノ 人間
ロボット モノ ロボット

2013/01/14

障害等級法

 第1級のさらに上に、全身義体者が該当する「第0級」が付け加えられている。

2012/12/25

義体法(智徳25年)

・義体の点検と検査

 全身義体者は、義体化してから3年後と、以降2年ごとに義体検査(義検)を受け、インタープリタを最新のものに交換したり、動力源を最新の電池に交換したりしなければならない。義検は、厚生労働省が指定した全国の大学病院や日赤病院などで行われている。また、これとは別に、義体者のうち障害等級第0級の者は3か月ごと、第1級および第2級の者は6か月ごと、それ以外の者は12か月ごとに、病院で定期検査を受け、装備品の点検をしなければならない。

・医療の強要の禁止

 義体化は患者本人の同意がなければ行うことができない。ただし、事故で意識不明になるなどし、患者に判断能力がない場合に限り、義体化以外に救命方法がないと医師が判断すれば義体化手術ができる。

・子供の義体化

 子供は体が成長するため、部分義体にすると、生身の体と義体との接合部に負荷がかかり、大変危険である。このため、子供の義体化はできる限り行ってはならないとされているが、義体化以外に救命方法がない場合は、全身義体化に限り認められている。

 16歳未満で義体化した者は、16歳になる年まで、毎年春休みごとに義体を新しいものに交換しなければならない。これは、生身の体では体の成長にあたる行為で、一斉換装と呼ばれる。16歳になって作る自分専用の義体の身長は、義体化手術の時に採取した細胞をDNA鑑定して、最終的に到達する身長を推測し、それに合わせるが、義体化手術当時の体の損傷が酷く、健康な細胞が採取できなかった場合は、脳から細胞を採取するのは危険なので、やむを得ず日本人の標準身長に合わせる。

・義体の人相

 全身義体化する場合、義体の人相は、可能な限り生身の頃の姿に近づけなければならない。そのため、義体化する者は、手術前にあらかじめ義体を確認し、この義体でよいとサインをしなければならない。しかし、事故で意識不明になるなど、そんな悠長なことをしている場合ではないときは、16歳未満で義体化した者がかつて使っていた中古の15歳用義体を、病院の倉庫からひっぱり出してきて使う。そして、その後患者の意識が戻ってから、患者と打ち合わせをしつつ義体製作を進める。

 16歳以上の義体使用者は、みだりに義体を変えてはならない。これは、本人確認が煩雑になるのを防ぐためである。ただし、義体が大破し修復不能となった場合は、この限りでない。

2012/12/25

危険物取扱者資格取得の義務

 名古屋電工製FNEシリーズの義体を使用している者は、搭載しているリチウム空気電池の金属リチウムを自ら扱う場合に備え、危険物取扱者乙種第3類の資格を取得しなければならない。

2013/02/17

ロボット工学三原則

第一条:ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

第二条:ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。

第三条:ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

 残念ながら、恒保年間には、まだ自分で考えてこの原則に逆らわないか判断し行動を決定するといった高度知能をもったロボットは存在しない。したがって、ロボットはプログラムで動いているときもしばしばこの原則に逆らうし、もちろん人間が直接操縦している場合は簡単にこの原則に背くことができる。これらの行為を規制するのは既存の法律である。

 ロボットがプログラムで動いているときに第一条に反した場合は、ロボット製造業者は製造物責任法違反になるし、人が直接操縦していた場合は故意か否かで危険運転致死傷罪か業務上過失致死傷罪に問われる。

2013/01/16

ロボットの外観の規制に関する法律(ロボット外観規制法:智徳25年)

 義体のハードとして使用されるアンドロイドが不気味の谷を越えたのだから、生命維持装置などの煩雑な装置を積まなくてよい普通のアンドロイドは、そのスペースにアクチュエータを搭載したりして、さらに動作を人間に近づけることができるはずである。こうなると、もはや外見だけでは、目の前の人間らしき対象が、本当に人間なのか、それともロボットなのか見分けることが困難になる。したがって、ロボットと義体には視覚的に明確な区別がなければならない。それを規定するのが「ロボット外観規制法」である。

 条文「ロボットの外観は、人体と一目で区別がつくものにしなければならない。また、ロボットに覆いをすることによって、その区別が困難になるおそれのある場合は、これをしてはならない。」

2012/12/25

全身形成禁止法(恒保9年)

 恒保8年に、亰都大学iPS細胞研究所がほぼ完全な人体の再現に成功したために、無秩序な人体の複製を規制する必要に迫られてできた法律。この法律では、臓器移植などのために人体の一部を複製することは認められているが、全身をそっくりそのまま複製することは禁じられている。

2012/12/26

全身義体化補助法(恒保14年)

 条文「全身義体化に対する補助金は、これと国民健康保険を合わせて全身義体化手術の費用全額を賄うことのできる金額とする。」

2012/12/25

義体者介護基本法(安祥6年)

 義体者介護基本法の基本的なスタンスは、義体者の介護は義体者の属する社会の最小単位が担うべき、というもの。実質的な丸投げである。

2012/12/25

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