このページは近未来のフィクションです。実在の団体名等が出てきますが、無関係です。

義体構造

炭酸水素イオン除去機構

ブドウ糖酸素溶解槽

リチウム空気電池

 ジ一工ス・ユアサ製のFNE(フネ:Full Negative Electrode)を採用している。両腕両脚に関節を隔てて2本ずつ、計8本搭載しており、充電は脇腹のプラグ挿入口から一括で行う。正極活物質である酸素は、鼻からつながるエアチューブを電池側に分岐させて、空気中のものを取り入れる。

2012/12/19

発声機構

・二社の発声機構の違いと特色

 名古屋電工のFluent Speakerは、脳から出る神経の束にセンサを取り付け、唇、舌、頬、声帯などの動きを司る電気信号を読み取って、出力する声を生成するシステムである。このシステムの実現のためには、微弱な電気信号の違いを読み取る高性能のセンサと、口まわりの大量の動作パターンが必要である。高性能のセンサを用いることから、義体はその分高額になりがちである。また、動作パターンを記憶しておくメモリを、口回りの動きが多く消費してしまうので、必然的に身体の動作パターンのためのメモリが圧迫される。

 一方、ココ口が採用しているMeaning Expresserは、脳表面に直接センサを置き、脳が言葉を司る部位で何を考えているかを読み取って、その内容を標準語で出力するシステムである。標準語の発音に必要な動作パターンしかメモリに記憶させておかなくてよいので、その分身体の動作パターンが豊かになる。動作の表情は確かに豊かではあるが、発言は全て完全な標準語なので、関西で社会に自然に溶け込むのは難しいだろう。また、仕事で頻繁に外国語を使う人は、失業してしまう危険がある。

・音痴

 まず初めに、音痴には三種類あることを言っておく必要があるだろう。一つ目は、「そもそも声質が悪い」、二つ目は、「音程を正しく聞き取れない」、三つ目は、「音程を正しく発声できない」である。

 Meaning Expresserでは、歌を歌うとき、歌詞と音程を読み取るので、本人が歌詞や音程を間違って覚えていない限り、上手に歌うことができる。また、声は電子合成音なので、声質は関係ない。したがって、音痴の「一」と「三」は克服できる。

 一方、Fluent Speakerは、歌を歌うときも、口まわりの動作を読み取るので、音程を正しく発声できない人の歌い方もそのまま出力される。声自体はMeaning Expresserと同じく電子合成音なので、音痴は「一」だけ克服できる。

2012/12/09

 人体において最も可動域の広い関節が肩である。あらゆる方向に自由に動ける反面、広い可動域の実現のために骨同士の噛み合いは緩く、支えは腱や筋肉など骨以外に頼っているのが実情である。これを、筋肉のない義体で再現しようとすると、可動域は再現できても、動作の過程がどうしても人体と違ってくる。恒保2年現在の義体では、肩は唯一、不気味の谷が完全には払拭されていない部分であるといえる。

 そのため、義体者は、人体とは異なる動きをする肩を露出しないよう、袖のある服を好む。

2013/01/06

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